「短歌人」2014年8月号掲載
南へと向かうジェットが雲海をくぐって描くひとすじの白
ブログにはカミサンとして登場すわれの新しき物語かな
はちみつを溶かしたような湖に帆のないヨットはひしめきあえり
珈琲がぽたっ。ぽたっ。と落ちてゆく。。。私のなかに彼の子がいる
亡命を迫られるほどの国じゃなし夕陽に染まぬ夕顔もあり
湯にひたす足に伝わる愛しさがすべてをつつむ朝霧のなか
陣痛に二十五時間耐えしのち生まれたる子よわれの息子よ
授かりて産みたるあかし吾(あ)とおなじ癖持つちいさき指が動きぬ