葉桜の下を自転車ころがして運転免許を取りに行くのだ
十代の教習生たち、ナオトくん、ハルトくん、シュウトくん、ライトくん
いちどきに筍もらう時季ありて一昨日昨日今日がそのとき
高校を卒業したての人たちに交じりて学科試験に臨む
湖に浮かべるヨット眺めつつ教官とともに路上を走る
「場内をぐるぐる回っているだけでじゅうぶんです」と申してみるも
“要眼鏡” 押印されて北斗七星からカラス座までの曲線
エナちゃんと高速教習受けながらスピード出せずに叱られており
ああまるでカーチェイス 前と後ろと右の車が繰り広げるは
カーチェイスのレース棄権し左車線のっそり走る教習生われ
高速の自動車国道下り来れば町はゆたかに夏めいており
緑陰に車を停めて魂の抜け殻のごとくなりたるふたり
南寄りの風強くして来週は夏帯出さむとキャスケット脱ぐ
「きらきら星変奏曲」がカーラジオから流れきてわが裡の母性
水郷の青き田に風吹き渡りゆっくり立ち漕ぎしはじめており
Works
作品集