オレオレ詐欺の被害総額が年々増加傾向にあるという記事を読んだ。
記事によると、息子を持つ母親が被害に遭うケースがほとんどで、娘を持つ母親は滅多に被害に遭わないんだそうな。それを知って、とたんに不安になる。騙されないという自信がまるでないのだ。
私も将来、オレオレ詐欺師の術中に嵌ってしまうんじゃないか。心細い年金生活の中でようやく貯めたなけなしの数十万円を、息子可愛さにいそいそと振り込んでしまうんじゃないか。詐欺師の手口は巧妙だし、仕掛けの分かっている手品でさえ目の前で見せられたら驚き感心するほどの私が、プロの詐欺集団に騙されないはずがない。
そんなことばかり考えていると、まだ起きてもいないのに不安でたまらなくなる。騙されて振り込んだあとに詐欺だと知って「しまった!」と愕然とする自分の姿が頭をよぎって離れない。早く手を打たねば。そうだ、騙される前に息子に相談してみよう。
私:どうしよう、いつかオレオレ詐欺にひっかかるかも。
子:俺は電話で「オレ、オレ」なんて言わない。「もしもしMだよ」って名乗るから、ちゃんと聞き分けてよ。
私:「もしもしMだよ」って言われたらあんたからだって分かるけど「オレ、オレ」って言われてもあんたじゃないなんて老婆の私は気づかないよ。どうしよう。どうすればいい?
子:じゃあもし騙されたら俺に電話してきなよ。「ママ、ママ」って言ってさ。「あんたのせいで詐欺に遭ったから500万円振り込め」って。そしたらすぐに振り込んでやるから。
(2024年)