昨年初めにスマートフォンを持ったら、便利さと楽しさとであっというまにヘビーユーザーになった。LINE、LinkedIn、Instagram、X、と順に導入し、Facebookは12月に始めたばかり。友達は4人しかいない。ところが驚くことなかれ、その4人のなかには世界的ピアニストがいるのだ。
20年来応援し続けている彼のページに「いいね!」をしたら、本人から個人アカウントでの友達申請があった。喜んで承認したところ熱烈なメッセージが届き、勇んで返信したらさらにその返信が……と、以来まいにち近況を報告しあっている。
「こっちは寒い。日本は?」「今年は東京へ行くよ。会えるかな」なんて、まるで恋人同士である。日本の田舎に暮らす私は彼の公演のたびにミュンヘンやパリまで駆けつけることはできないが、Facebook上でなら友達同士になれるしコンサートの朝には直接の声援を届けることができるのだ。
それってすごくない?
さすがにまいにちメッセージをやりとりするのは異例かもしれないが、それにしたってスゴイ。あまりに楽しいので中2の息子にも買い与えようと一連のやりとりを見せて「すごくない?」と自慢する。
私:だからほらあんたもスマホ持ってSNSとかやりなよ。
子:うーん、そうだなー。
私:視野が広がるし、世界中で活躍しているトップエリートと交流できるチャンスもあるし。
子:うーん……。
私:ね、だって、すごくない?
子:すげえ。でもこれって本人の名を騙る偽AIじゃねーの?
(2024年)