Works
作品集

2026年の歌(月々更新中)

床の間に侘助侘助さびしかり誰でもいいというわけじゃない
 
謎解きをしているみたい 密室に鍵を失くして探しまわりおり
 
勉強をがんばりなさいと言いながら子にお年玉くるる義父母は
 
餅を焼き餅を食べさせ餅を食べまた餅を焼く三が日です
 
炬燵ではなくテーブルで蜜柑剥くこのひとときを団欒とする
 
じわじわと積み上がってく空いた皿カンパチからは二棟目に入る
 
そばにいてほしいだなんて考えたこと一回もなくて山茶花
 
言葉にはならないという言葉あり 涙も出ないほどのかなしみ

わだかまりほどけぬままにカメラ向けられているなり 愛せぬ夜だ
 
朝の陽がほんのちょっぴり透けてきて霧があなたを連れ去ってゆく
 
古めかしきリボンで彩る黒髪の艶に秘めたる皇女のこころ
 
交響詩「英雄の生涯」聴き終えて母の傍から離れ来たれり
 
裏切りに打ちのめされて灰になるアナスタシアのうつろな瞳
 
完全に壊れてくれたら買い替えることもためらわなくて済むのに
 
透明なゼリーにさるる愛玉子(オーギョーチ)まだ獣にはなりきれなくて
 
数行のうた書くのみに売れっ子のごと締切に追われておりぬ
 
雪の舞う日はひとりしずかを望みおれど子らを集めて雪合戦す
  
目の前で事件が起きているごとく真相に迫らむとしており
 
唐突にドアが開いてあのひとが現れたりとかしないかなーあ
 
君のため君だけに言う 今後いっさい 私とはいっさい 関わらぬよう
 
大岩に砕けるままに凍りつくしぶきの眩し袋田の滝
 
子の嘘がだんだん巧くなってゆく このデコポンは酸味が強し
 
さびしくて依存しそうになる だからスマホの画面は白黒にした