Essay
エッセイ

湖のうえで

茨城は霞ヶ浦のそばに移住して、湖での遊び方を学んでいるところ。
ときにカヌーを浮かべ、ときに釣り糸を垂らして……。

学校なんか行かないでさ、お母ちゃんといっしょに遊んで過ごそうよ。
って声をかけても、

「おれ、学校すきだからな。学校行くぜ」って。
つまんないの。

仕方がないから、ひとりで遊んでいるさ。

湖のうえで。
カヌーに乗って。
パドルを漕いで。

遠く、学生たちのヨットレースを眺めながら。

「学校好きに、天才も秀才もいない」というのが私の持論なのだけど。
この子に期待をかけるのは、もうすっかりやめにしました。

子どもには、朗らかで幸せな人生、それ以上は望まないことにしました。
親としてしてやれることなんて、これからはもう、それほどないだろう。

いっしょに過ごす時間も限られている。
これまでもそうであったけれど、これからますます「何かをいっしょに」ということは減ってゆくだろう。

小学生って、ずいぶん大人なんだなあ。
私なんかよりもずっと、大人びている。

(2017年)